バンコク交差点
- 絵空事
- Nov 29, 2018
- 7 min read
Updated: Apr 18, 2020
交通事情

バンコクに来たことがある人、特に夕方7時頃に街中を歩いたことがある人は見た事があるだろう道路交通渋滞風景。アソーク交差点の歩道橋から望むアソーク通り、チットロム駅からのゲイソーンビレッジに続く歩道橋から望むセントラルワールド前を観光客の人が渋滞の写真を撮っているのをよく見かける。
世界の大都市のあちこちで同じような渋滞が起きているだろうが、バンコクの渋滞は世界一に属するのでやはりある意味で見ものである。特にテールランプの赤色が印象的で写真を撮るとある意味で美しい。

または交差点の信号待ちをしている大量のバイク、そしてその信号が青に替わった瞬間に動き出す大量のバイクを撮影している観光客の人も沢山いる。以前も触れたが、東南アジアはバイクが非常に多い。(クアラルンプールは余り多くないように思うが)
渋滞がひどいので車よりも確実に早いバイクを好んで使う人も多いだろう。雨や交通事故には弱いがそこには目をつぶれば利点の方が大きい。

価格も車の10分の1の値段で買える。ローンの期間の長さ、それから頭金の金額にもよるがバイクは最終的に支払う金額は平均5万から7万バーツになる。月の支払いは3千から4千バーツを3年間程度支払い続けることになる。
車の場合は日本車で例えると60万バーツから100万バーツの間の金額が平均である。ローンも1万バーツ程度を毎月5年間程度掛けて支払いをしている。タイの日本車は税金の関係で日本の販売価格の約3倍の金額で売られている。

上記の様な各ローンの支払い以外にもメンテナンス費用、事故保険などの支払いもある。タイは発展途上国と言われているが、日本の3倍の販売価格でも道に車が溢れ返っている。ある研究機関によればバンコクの総延長の道よりも車の数の方が圧倒的に多いので渋滞は避けられない問題である、と書かれていた。
この『渋滞』だが、確かに車が多すぎる、という大きな原因があるのは間違いないと思う。ここは駐車場なのではという言う位車が動かない。ひどい時は1時間で10メートル進める程度である。しかもこの渋滞は主に都市の中心地に集中をする。
週末のデパートの駐車場もひどいものである。駐車場に入る為の渋滞。駐車場が満車の為、中に入った人が帰っていく車を待ち伏せするため中でグルグルと回っているのである。
入る車も多ければ出る車も多いのでデパート内での渋滞と、デパート周辺の渋滞もひどい。

週末を控えた金曜日の夕方に中心地が渋滞している最中、バイクでそれをすり抜けてほんの少しだけ中心地から離れただけで車の量が天と地の差になる。理由は中心地が渋滞をし過ぎ、車がそこに停滞をしているのでそれ以外の地域にまだ車が流れ出てきていないという理由だと、個人的な推測をする。
勝手な考えだが本当は車の量が問題ではないと考える。理由は毎日見ているバンコクの運転マナーである。

こちらの大きな交差店の信号には数字の電光掲示板がついていて、あと何秒で信号が変わるという目印になっている。
親切の為に付いているであろうこの数字がいけないと勝手に思っている。
交差点まで少し離れているが数字はあと2秒あるので猛ダッシュをして滑り込みセーフを狙い交差点を過ぎようとする人も多い。この場合交差点に到達する頃にはもう信号の色は替わっているので、他の車線から来る車の妨げとなってしまう。これを機に渋滞が発生する。

もともと3車線の通りを無理やり食い込んで4車線になっていたり、渋滞に見切りをつけてとんでもない所でUターンをする人も普通にいる。イライラがピークに達しているのである意味でやりたい放題である。

慣れている人は車に設置されているテレビでドラマを見たり、携帯で映画を見ている人達が多い。時間を有効活用している。渋滞は逃れられないのでイライラしても仕方がないし、急いだところで進めないのでのんびり構えておくべきだ。
それからこちらではどんなに狭くても隙間あらばそこに車の頭だけでも突っ込んでおいてその車線に割り込むのである。車がまっすぐに並んで走っていないし、信号待ちの車もジグザグになっている。

善良ドライバーは車の間隔を法定通りに空けている人もいるが、それだけあけてしまえばもちろん必ず誰かが割り込んで来る。すでに1台割り込んでいるのにも関わらずもう一台ここぞとばかりに割り込もうとして、次の隙間を狙っているのである。
このジグザグの間をただでさえ走りにくいのにバイクはうまくそれを避けながら走って行く。交差点で信号が替わり車が動き出そうものなら、それぞれの車が動くことで生まれる小さな隙間にバイクが入って進んで行く。乗用車は乗用車で絶対に入れない隙間にもわざと食い込んで行き、我先に我先にの連鎖になる。

この乗用車同士とバイクが絡み合う攻防戦で、お互いになかなか自由が利かなくなってその交差点付近に停滞をする。そして信号が赤になっても流れて行くべき車線の車は交差点をまたいだ状態で停滞してしまうので、またもや他の車線が青になっても行き止まり状態なのである。
運転マナーの良い人も沢山いるが、善人でいたら全くどこへも行けなくなってしまう。
劣悪ドライバーたちがこの善人を小悪魔に変えてしまうのである。この負の連鎖が本当の渋滞の原因になっている、と個人の観察から考えている。

みながみな譲り合いの精神を持って運転をしていて、交通規則にしたがっていれば車の量がどんなに多くとも今ほどの渋滞にはならないだろうと思ってやまない毎日を過ごしているバンコクである。
譲り合いどころか、無理な追い越しもあるが運転マナーと安全上の問題以外に、性格的な問題で非常に危険な行為であると言っておきたい。
バンコクで起きる事件でよく聞くのが、急な車線変更で割り込みをし、相手の車の前に割り込み暴走していく。
勝気な運転手が多いせいか、運転中にも関わらず無理やり割り込み追い越し運転をして来た運転手を人目でも見ようと追い抜きに掛かる。それから横並びに運転をして、相手の運転席をにらみつける、又はこいつの顔見ておきたい!っという勢いで首が180度回転しそうな見方をしている。

これだけで済めばいいが、それによる事故やお互いが車から降りて乱闘に発展することも少なくない。ニュースに出るのは竹刀や鉄パイプを持って出てきて大乱闘となるのもしばしばあるので、追い越しだけは気をつけよう。
バンコクを少し知っている人には周知の事実だが道路は歩行者優先ではなくあくまで車が優先である。狭い道で歩いていても歩行者は優先されず逆にクラクションでまくし立てられたりもする。

横断歩道も少ないので、無理やり道を渡らなくてはいけない時に度々遭遇する事があるあずで、その際も車が我が物顔で走っているので充分に注意を払って渡る必要がある。
自分が渡るときは会釈や少し手を上げて待って下さいというアピールや、止まってくれてありがとうと手を上げて合図をしたりしているが、経験上とても効果的である。
それから信号がある場所ではどうかだ。バンコク中心部の大きな較差点は歩行者用信号を見ていたらいつまでたっても渡れない。

車用の三つ目信号を注意してみて、道路の半分だけ(中央分離帯部分まで)渡り、次の信号の色の変更を待たないと平気で5分や10分待つことがある。三つ目信号が赤であればその車線は車が停車をしているので、何気なく沢山のバイクの前をそそくさと歩いて中央分離帯まで歩いていける。
高架電車の工事中周辺では大きく看板で『譲り合いの精神』などと出ているが、多くの人は分かっているが、分かっていない人も多数いるので、誰も譲る勇気はない。全ての電車が開通してからはこの渋滞が大きく緩和される事を願う。

駅はまだまだ便利とは言えない数であり、その駅まで行くまでに別の交通手段が必要だったりする。なので初めから車で出て行こうとなるのが自然の流れである。
つまりはこの先暫くは電車がどれだけ開通しようとも渋滞は軽減されることがないという考え方の人の方が圧倒的に多い。

最後に郊外や田舎の話。
郊外に出ると横断歩道は皆無、ましてや上下線とも行き来が自由に出来る様な交通システムでないので、もし車で反対車線の場所(歩いてまっすぐ道路を渡るだけの場所)でも数キロ先のUターン地点まで行って折り返してこなくてはいけない場所が多い。
バイクの場合は道の脇を逆走するのが当たり前である。まっすぐ渡れない理由は中央分離帯が溝になっているからである。郊外や田舎の幹線道路は大型運搬車の通り道であり、一般者の運転スピードも140から160キロと半端ない。こう言った理由からハンドル操作を誤った車が反対車線に飛び出して来ない様に溝を掘って、万が一の場合は溝に落ちる様になっているからである。
場所によっては丸太がかかっていて、歩行者が渡ったり、気の板が渡されてそこをバイクでうまく渡っている人達もいる。

何度も何度も言うが、タイは自由の国である。
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