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タイ発月面着陸①

Updated: Jan 29, 2019

宇宙船ネタでもなく、天文学ネタでもない。

ただ強烈なニュースがタイ中を揺さぶり、その振動が月まで届く勢いだったからだ。


以前に書いた他人の家の前に堂々と車を駐車する人がいるという話をしたが、その火種となった人物の話をしていないかったので今回は少し話を遡りたい。



この人物の10年戦争の結果、他人の家の前に違法駐車をした場合禁固刑15日、5千バーツ以下の罰金という法令が作られた。


人によっては、たかが違法駐車で15日の禁固刑?と驚く人もいるだろうし、『10年戦争』のあげく、たったのこれだけの結果?と思う人もいるかも知れない。


この要点だけを見ると、身近に起こりうるそれはそれはとても小さな事件というよりも出来事でしかないように思えるが、この人物の事件にタイが激震する事になる。タイ語では『ニュースが月面に到着した』という題にもなっていた位騒がれたニュースだ。


この人物にまつわる違法駐車の案件は実は氷山の一角に過ぎずこの案件から次々と明らかになる『秘密』が暴かれた事件だ。



この人物はビーおばさんと呼ばれる素敵な中華系のお育ちも良く、豪華な一軒家に暮らす女性である。

『素敵でお育ちも良い』豪華な一軒家に暮らすおばさん、という事を覚えておいて欲しい。

ビーおばさんの事件が有名になった理由は、フェースブックに投稿されたひとつのビデオクリップからだ。


ビデオクリップで、おばさんがなたをもってピックアップカーを叩いている映像だった。暫くするともう一人おばさん(ビーさんの姉妹)が出てきてその人は斧で窓ガラスや車の後ろの部分を叩きつけていた。



その衝撃で車のクラクションは鳴りっ放しで、人が集まってそれを呆然と見ている。暫くすると車の持ち主が現れ口論となっている映像だ。


この映像ではっきり見えるのがこの白のピックアップカーがビーおばさん宅の家の門のど真ん中に駐車をしている。そしてビーおばさんの車が門から出てきているものの、出れない状態である。



ビーおばさんは車の持ち主に対して、車の破損に対してなんら責任は取るつもりはないし、ビーおばさんは何も悪くない。悪いのは人様の家の門のど真ん中に違法駐車をしているあなたが悪い、と断言をしている。


これだけはっきり断言出来る理由はビーおばさんの家の正面部分全面に張られた看板が物語っている。看板には違法駐車が出来ないこと、そのたもろもろ書かれている。それだけ大きな目立つ看板があるにも関わらず、それでも違法駐車をするのは、客観的に見ても誰が悪いかは一目瞭然だ。



当初はこの映像を何の知識も、情報もなく見て全員が、このおばさんは頭がおかしくなったなど、叩かれるだけ叩かれたが、事情を調べていくに連れてビーおばさんは悪くない!と殆んどの人々がビーおばさん応援団に変わったのである。


有名になることでビーおばさんの『十年戦争』が明らかになった事で多くの人がビーおばさんに賛同をした。



もともとビーおばさんがこの家の土地を購入した時は周りにはなにもなく、国立公園のほとりの平和で静かな場所であった。しかもこの土地はムーバーン(ビレッジ:居住区)(ムー:集まる。バーン:家をタイ語で指す)指定を受けているので住宅地であり商業施設は一切建設禁止という地区であった。


しかし10年程前から現在に掛けて新鮮市場や食事どころが沢山入った大型市場など合わせて5箇所も建設され営業されていた。しかもよりによってこの5軒はビーおばさん宅の左右隣、真向かいに建てられているのだ。



この国立公園はバンコクの外れにあるが朝夕と運動に来る人が絶えない場所であり、その多くは車で来る人達だ。運動をしてお腹が空いたり帰り道にこの5件の大型市場を利用するようになる。それに伴って車も溢れ、違法駐車も甚だしい状態である。市場の周りに駐車しきれない車がビーおばさん宅の回りに違法駐車を10年以上もの間してきていた。


違法駐車以外にも、市場からの騒音が早朝から夕方まで絶えず、調理をする時のニオイ、市場から出るごみで家の周りが不衛生になるなど悩ましい事ばかりが続いていたのである。



ビーおばさんはただただ黙って我慢をしていた分けではなく、警察や、バンコク都、区役所、裁判所まで政府機関という機関全てに訴えを出しており、裁判所でも判決として、この場所の市場の建設及び営業は違法であると判決を下している。しかもその内容を看板にして家の前に張り出しているのだ。


裁判所の判決も出ているのにも関わらず何も変わらず10年が経過し、日々日々出るニオイ、騒音、不衛生、渋滞に悩まされていた。



この10年の間にビーおばさんの母親だ体調が悪く病院に緊急で行く必要があったが、家の前に違法駐車がされていた為母親の手当てが遅れてしまったという事実。

近所の家のおじさんは心臓が悪く、発作が出てしまい救急車を呼んだが、市場周辺の違法駐車や渋滞がひどく、病院に間に合わずそのまま亡くなったという事実も明かされた。


ビーおばさんがずっと訴えいたのはこの5つの市場が不法建設で不法営業である事、そして、法律違反でどうやったらこの市場が長年に渡り営業出来ているのか、という事だ。


今回のこの一件でその秘密は全て明らかになったのである。


その2へ続く


 
 
 

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