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時の流れ

Updated: Apr 18, 2020

風習や文化は先祖代々受け継がれてきた人の知恵の結晶であり美しきものでもある。

ただ、時代と共に人々の考え方は変化していきこの『文化』もかわりつつある。





現代では人それぞれ個人の考え方が尊重されるような時代になっているので何が正しい、間違っているというはっきりしたものはなくなっている。


自分の経験上で顕著なものをひとつ上げると、左手を使う事である。



自分は両利きだが、食事とものを書く時だけ左手を使う。右手、右足は運動をする時だけ使う。家を出る第一歩も右足から出る。はさみやパソコンのマウスは強制的に右を使う、わざわざ左利き用を探して買うのも面倒であるし、右手を使うことになれてしまっているので左手ではもう出来ない。


上記以外にもこの自分の《両利き》が謎である。

トンカチを使うのは左手だが、ドライバーを使うときは右手ではないと出来ない。電話は左耳ではないと違和感がある。アイロンは左手、包丁で皮を剥くのは右手ではないと出来ないが、切るときは左手ではないと切れない。



話は『左利き』に戻そう。

インドや、インドから伝わってきた仏教の関係、それからアジアで左手は使うものではないので、昔の左利きの人達は右手を使う様に強制されていた。自分の母も実は左利きだが一昔前の世代なので矯正をされ食事は右手でしている。


マレーシアやインドネシアではまだ残っている文化で都会のレストランでもしばしば見受けられる風習だが食事をスプーンやフォークを使わずに手で食する。こういった場合に左手を使うと人によっては見た目的に違和感があるかも知れないだろう。



西洋人の一部の人からするとこの手を使っての食事自体がよろしくなく、それを見てしまって食欲を失った、という人も自分の友人の中にいる。考え方、感じ方は本当に十人十色である。個人的には文化の違いは面白い事であり楽しまないと損だと考える。


タイでも地方出身、特にカオニヤオ(もち米)を主食とする地域の人達は手を使って食事をする人達がまだまだいる。バンコクのソムタム屋に行くと今でも普通に見受けられる光景である。



手を使って食べたほうが美味しいという言い分である。スプーンを使うとその鉄分の味が混ざってしまったり、金属が口に触れることで起きる温度変化や化学反応が味を変えてしまうらしい(特に科学的根拠は無く、こういう考えがあり手で食するのが美味しいという話)。


もち米は口に入れる前にぎゅっぎゅっと握ってから食べると美味しいと言われているのでスプーンやフォークでは出来ない技である。ぎゅっと握ることで硬くなるのでおかずや、スープに浸しても型崩れをしないのでそのままおかずと一緒に口に入れられる便利な食べ物である。


合わせて今の時代は用を足した後に手を使ってお尻を洗うという行為はもうない(東南アジアで知る限りでは)。タイの街中は殆んどのトイレにハンドシャワーが付いているのでそれで洗う。最新のデパートではウォシュレットも付いている。郊外やガソリンスタンドの一部は桶と洗面器がついており、それを駆使して洗うので、手が直接汚物に触れるという事はなくなっているのが今の世の中である。(国際的な場所では逆にこのハンドシャワーがない)




それから仏教の左手への考え方は恐らくもう衰えてしまっている考える。

先程書いたとおり自分は左利きである。お坊さんの前で書き物をする時も左手を使うし、お寺の中で食事をする事もある。大きなお寺の行事なので大勢の人がその場所にいる中で左手を使っているが誰も何も言わないし、ジロジロ見られることもない。



最初に書いた通り、文化、風習は古人の知恵の結晶であり尊重すべき事も沢山あるが、近年では個人のひととなりも尊重されるべきという考えがあるので左手を使っても咎められる事はない、と経験上言い切りたい。


どこの場所、国に行っても自分は左を使う。意固地になって使っている訳ではなく、左利きなので左しか使えないからだ。中には自分が左手を使って食しているのを見て嫌な思いをしている人がいるかも知れないが、それは自分には分からない。



最後に余談になるが食事関係の内容ついでに『牛肉』の話をする。


こちらでは中国仏教(御釈迦様)を信仰している人の中で信仰の厚い人は牛肉を食さない人がいる。それ以外にもタイ仏教徒、イスラム教関係なく食べない人もいる。この宗教とは関係なく食べない人は一貫して『アレルギー』だから、という理由である。本当にDNA的なアレルギーもあるだろうが、個人的には『貝にあたる』現象と同じだと考える。


海鮮料理にあたるのはその人のその日の体調も大きく左右され、同じお皿の料理を食べた人達でも一人しかあたらない場合もあるからである。


全くもって個人の意見であるが、西洋や日本と違いこちらの牛肉は美味しそうに見えない。タイ人的な方法で簡単な豚肉と牛肉の見分け方は牛肉は黒っぽいのである。豚肉は赤く、火が通ると肌色になる。こちらの牛肉は豚よりも少し高いし、黒く硬いので決して美味しいとも言えないものであるので、余り人気がないとも言える。


こちらで本当に美味しいものを食べたい場合はイスラム系のお店で食べたりする(宗教上豚を食べないので鳥以外に牛が中心となっている為)。


イスラム系のお店に行くとある 牛の尻尾のスープ

上記の様な前提がある中で牛肉を食し、体にぶつぶつが出てきたら、もう牛肉は食べないという事になるのも容易である。しかしながら面白い事にこういった人達の中で西洋諸国、日本に行った時に牛肉を食べて非常に美味しく食べれたしアレルギーも出なかったという話をする人も沢山いるのである。


気持ちの問題、その日の体調、素材の質、調理人の技術で色々と変わるものであるので一概にタイの牛肉が美味しくないとは言い切れないのである。


時の流れは人の考え方、ものの見方を変えてくれる素敵な存在でもあるのだ。

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