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年末年始


タイは仏教徒が多いので年末年始はお寺行事が多い。

年越しをお寺でお経を唱えて過ごす人、元旦早朝から9つのお寺を巡る人など色々である。




9つのお寺巡りは数字の発音が理由になっている。9は縁起の良い数字とされている。9はタイ語でガーオと発音をする。綴りが違うが同じ発音でガーオという言葉があるがこれは『前進する』という意味で縁起を担いだ言葉とされている)。


南国なので年末年始といえど、雪も降らないし、木枯らしも吹かない。ただ幸運な年は涼しく過ごせる時もある。今年も幸いに涼しい日が続いている。薄手の長袖でも肌寒いくらいだ。


もともとタイのお正月はソンクラーン(4月12日)であり、イスラム教の人々にとってはラマダーン明けがお正月であり、華僑にとっては旧正月がお正月なため、太陽暦に合わせたカレンダーのお正月休みは意外と少ないのが通常である。特に華僑系の会社は31日、1日、2日の3日間程度が通常の年末年始の休みになっている所が多い。



お祭り好きが多い国なので大晦日はあちこちでパーティーがあり、花火もあちこちであがる。中心部ではチャオプラヤー川沿いで大規模に花火が打ち上げられるし、有名な場所ではセントラルワールドでカウントダウンパーティーが毎年催される。その他の地域でも規模は大きくないがあちこちで照明や、飾りが施されて呑めや歌えやのドンちゃん騒ぎを夕方くらいから始めている。


セブンイレブンの店員さんのお祭り お店の前にて

太陽暦の大晦日とソンクラーンはこういった騒ぎも容認されるのである。というのは一箇所ではなく町のあちこちでこういったパーティーが大音量の音楽と合わせて開かれているからである。どこか一箇所だけ異常にうるさかったら苦情になるかも知れないが、数件おきにみな大勢で騒いでいるので問題にならない。


家族で過ごす人も多いが、友達同士集まってワイワイする人も多い。

国内旅行や海外旅行へ出る人も近年では多く、空港内の渋滞も外国人旅行者に負けず劣らずの勢いである。


人気の渡航先は色々あるが、雪国に憧れが強い南国なので近場の中国、韓国、日本である。なかでも韓国と日本はビザが必要ない、ドラマや芸能人の影響も強いので根強く人気の渡航先である。



冒頭に書いた様に1月1日の元旦にお寺にお参りをする人もいれば、車にお参りをする人もいる。一年安全に走れて来たことを車に感謝すると共に、またこれから一年もお世話になりますという事で車を労う行為である。相手は機械だがとても素敵な事だと思っている。


自分の安全の為でもあるが、こういった無機質なもの、声を発さないものへの感謝の気持ちも忘れないという文化はとても愛くるしいと感じでしまう。



それ以外にも仏教行事は色々とあり、家の棟上式も行われていたので参加をして来た。

何度も言うが『タイは自由の国』である。棟上式は家が完成した時等に行われるがこちらでは必ずしも完成と同時でなくても良い。


今回参加した家は建ててから結構経っている家だったので、行ったときは え? この家じゃないかも?と思っていた。忙しかったり、吉日を選んだり、大きな式にする為にお金をそれまでに貯めたりと色々な事情があるので、完成後暫くしてからでも問題がない。


お坊さんも9人 9で縁起を担ぐ

お坊さんは午前中に来てお経を唱えてくれる。

何度かあちこちでこういった家での行事に参加をしたが、お坊さんは戒律で車の運転は出来ない為みなで助け合いで車を出してお寺まで迎えに行く。式完了後はもちろんお寺まで送る。ハイエース系の大型車を持っている人がいれば1台で済むが、無い場合は2台などで送り迎えをする。


もし家主が車を持っていない場合は誰か車を持っている人達が助け合いで車を出す。タイは車社会なのでなんだかんだで参加者の多くは車で来るので心配に及ばない。



儀式が一通り終わるとお坊さんにお礼のための食事を献上する。食事も家主が用意するし、近所の人や、式の参加者たちが持ち合って用意をする。それぞれが持ち合うため料理も多種多様である。


これはもともとの親戚付き合いや近所付き合いの延長線上であるが、食事をお坊さんに献上することで徳を積むことが出来るのでみな助け合いの精神で食事を用意してくれる。



おかずは予めお盆に乗せて用意をしておくが、お米はみながしゃもじで一人ずつすくい大きな器に入れた後にお坊さんに献上をする。こうする事で食事の支度に参加していない人も一緒に徳を積むことが出来るのである。




お坊さんの食事が終わると、次に果物や甘いものを献上して、食事が終わって初めて式が完了をする。お坊さんが帰った後にみなで食事をしてから帰っていく。


こういった行事がある事で、ご近所付き合いが更に増したり、それぞればらばらになっている親戚、家族たちが集まるのでとてもほんわかと暖かい雰囲気に包まれているのが常である。



玄関の上にお清めのおまじないをしてくれる

お坊さんが帰った後はお酒も飲めるので親戚やご近所の人達はしばしおしゃべりをしてゆっくりして行く。暫しの会話を楽しんだ後は解散となる。



家によっては家族分の食器しかない、式に使う器などないのが通常であるが、こちらのお寺はこういった行事になれているので食器から、式に使う道具、椅子やテーブルもケータリングサービスの様に貸し出しをしてもらえる。


と、年末年始に限らずどこかで必ず仏教の行事が行われているタイである。ある意味で宗教がある事で昔ながらの文化が守られており、その事で家族親戚、近所の人々との交流があるので宗教とは切っても切り離せない存在でもあるかも知れない。


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