詐欺師
- 絵空事
- Jan 25, 2019
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タイと言わず世界の有名観光地には観光客を目当てにした詐欺師たちがうようよしている。
今回はそのプロの人達の話ではなく、タイ人同士でだましているネタについて書く。
詐欺師と言う程プロではないものばかりだし、極普通そうに見える普通の人達によるものが多い。
『仏教徒の国』タイでは人の情に訴える様な事には非常に弱く騙されやすい傾向にある。
《劇団タクシー》
タイでタクシーの運転手は貧しい人達の職業と一般的に言われている。職種が自由業であり、いつでも休もうと思えば休める職業だからだ。
したがって田舎から出稼ぎに来ている人達が比較的多いのも事実である。農民の人が多く年に2回程度田植えの時期に田舎に帰る必要がある人もいるのでこういった自由業は彼らに向いている。
決してタクシー全員が貧しい訳ではない。中にはグラブタクシー、無線タクシー、常連客をうまく捕まえて一日に千バーツ稼げる人も中に入る。もちろんその日の天候、渋滞状況、経済など色々な影響を受ける事もあるだろう。
ただ、上記にも書いたように『一般的な印象』で貧しい人達の職業とされている。
タイ人の多くは彼らを貧しいから見下している訳ではなくて、色々と大変な人生を生きている人という観点で見ている。
この観点にうまく付け込むタクシー運転手たちがいるのである。
一人一時期有名になっていた人がいた。
車を運転中に運転手が自身の携帯を取り何かを話していたかと思えば急に大泣きしだしたのである。
それに驚いた乗客もどうしたんですか?と心配になる。
運転手は母親が死んだという事を伝え、死んでしまったのは致し方ないが葬式の為に母親の遺体を田舎に送るお金がないのでどうしようもなく困っている、と泣きながら説明する。
乗客もそれは大変な事だと思い、身を乗り出して親身に話を聞く様になる。ふと助手席を見てみたら小さな子供が床に座り座席を枕にして寝ていた。乗客は運転手の子供かと聞くと運転手はそうだと答え、母親がいないので誰も面倒を見れないのでこうして車にいつも乗せている、続けて話す。
人を哀れむ、大変な思いをしている人を助けたいと思うのが人の常であり、ただタクシーに乗って出会って間もない全くのあかの他人であっても心配になってしまうのがタイ人人情。
乗客はいったい幾らかかって、今はいくらたりないのか?とお金の質問を自発的にしてしまう。すると運転手は今足りないのは2千バーツだという。
この乗客はお財布に700バーツしかなかったので途中のガソリンスタンドに寄ってもらいATMでお金を下ろして1500バーツ運転手にあげたそうだ。
この乗客は困ったときはお互い様と何も考えず車を降りて、その日の内にフェースブックにて今日はこんなかわいそうな人に出会った、と日記感覚で投稿をした。
生きていると色々と辛いことを経験するものだ、の様な感じで一部始終を悪気なく書いていた。その後フェースブックの友人達がそれをシェアしていき、シェアが広がるにつれ、別の意見、情報が回ってきたのである。
その情報とは、彼と同じで写真も撮っており、運転手の見た目も似ていて同じく助手席には子供が寝ていて、母親が泣くなり、○○県に送り届けなければならない、という内容が全て一致している。
この同じ事を経験している人が何人も存在していた。
タクシー運転手というよりも俳優であり、詐欺師である。人の心をここまで掴めるのはプロである。
その他のネタを使って運転手が泣くというのもある。自分のその昔に別のネタで泣かれた事がある。ウソかどうかなんて見抜けない。というのはたまたま彼の車に乗って、彼の事を何も知らないので判断する材料が全くないのである。
タイ人でそういう事を良く理解して警戒している人達いる。
彼らは運転手とは決して会話をしないのである。
行き先や、道順などは会話をするが、それ以外は会話をしないし、寝たふりやイヤホンで音楽を聴いて聞こえないようにしている人達もいる。
タクシーだけで長くなってしまったのでもうひとつだけ騙しネタ。
《劇団ATM》
これは何年も前から有名なネタであり、多くの人が知っているがまだまだ知らない人もいて、その中の純粋な人達がまだまだ騙されているネタでもある。
何年か前はオンラインバンキングなどが近年ほど普及をしていなかったのでこのネタは大活用されていた。
まず前置きでタイの銀行のシステムの説明。
ATMはタイの街のあちこちにあり、気軽にお金を銀行から下ろせるのであるが、ATMでお金を下ろす際は最低金額がありそれは100バーツと設定されている。
口座にそれ以下の金額しかない場合はお金が引き出せない。
この前提を使った詐欺の話。
フェースブックにある青年が書き残していた内容
《《今失業中でお金がなくて困っている。ご飯もまだ食べていない。仕事を探しに行くためにご飯を食べて力をつけて行きたいが口座には60バーツしかなく、ATMでは下ろせないのでご飯を食べたくても食べれないので誰か助けてほしい。40バーツ入金してもらえてばそれでお金が下ろせるのでどうかお願いします!》》
読み手にすれば、その記事を読んでいる本人は一人であり、こんなに困っているなら40バーツ程度だし助けてあげよう!と簡単に思う。
人によっては40バーツでなく200バーツなどもいた。
落とし穴は《フェースブック》であり、読んでいる人は沢山いるので、一気に大勢の人を騙せるのである。
その記事を書いた日に彼は1万5千バーツ程度集めたそうだ。合計で2万バーツ強集めた。
タクシーの場合は演技力や真実味を出すための演出も必要だが、このATMの場合はただ、投稿するだけの何の技能も要らないネタでお金をせしめている。
これが発覚したのはこの詐欺師というかおバカさんはそのお金を元に美味しいものを食べている写真を自身のフェースブックに投稿していたのである。
しかも毎日の様に同じ内容でお金に困っているとあちこちのグループに投稿していたのである。
このネタで騙されている人達は本当に単純に《常識》が同情により欠如してしまった案件である。
以前に書いた『心の声』も騙されないために読んで欲しい。
《常識》の声はこうだ。
① 60バーツしか残金がないならその60バーツを自身の友人にオンラインで送金して、その受け取り主の友人から60バーツ現金でもらえるじゃないか!!(送金手数料無料だし!)
② 助けてくれる友人、家族はいないのか?まずは身内に聞くべきじゃないのか??
③ ネットが使えなくてオンライン支払いが出来ないならどこか無料WiFi を探せるし沢山あるのでそこですればいいじゃないか!
④ロータスの近くと言っているんだったらロータスの中にある銀行に通帳を持って行って60バーツ下ろせるじゃん!
と色々あるがこれ位で。
あかの他人であっても他人の涙や不幸に同情しやすいのがタイ人気質である。
タイ人同士での騙し合いであるが、タイ人の友人が出来たり、タイ語が出来る様になる事でこういった相談を持ちかけられる様になるかも知れないので知識として持っておくべき内容である。
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